臨床心理士に興味を持っているけど、大変そうな仕事だなぁとも思う…
臨床心理士になった人は、実際に働く中でどんなやりがいや魅力を感じているんだろう?
臨床心理士は「重い話ばかり聞いて、しんどそう」など、ネガティブな印象を持たれることもありますが、その分、やりがいや魅力もたっぷり詰まっています。
そこでこの記事では、臨床心理士のやりがいや魅力について、実際に臨床心理士として働く筆者がご紹介します。
臨床心理士のやりがい
困っている人を助けられる
「友達が悩んでいるのに何もできなかった」
「精神疾患の方にどう接すればいいのか分からない」
こういった「何もできない」という経験をすると、人は強い無力感を抱きます。
しかし、臨床心理士は困っている人(=クライエント)に対する関わり方を、ある程度体系的に学びます。
そのため、知識がないために「何もできなかった」とただ立ち尽くすのではなく、「こうすればいいのでは」と方向性を定めた支援ができます。
「自分の学んできたことで目の前の困っている人を救える」というのは、何にも代えがたいやりがいと充実感を与えてくれます。
ただし、学んできた知識だけで誰でも助けられるほど、臨床心理士が出会う人々の悩みは浅くはありません。
時には「どうすればいいんだろう」と悩み、「どうにもならないのでは」という無力感に耐えながら、泥臭い努力を続けていかねばならないこともあります。
それでも投げ出さずに支援し続ける中で、クライエントに少しずつ変化が生まれていきます。
どれだけ小さな変化でも、本当にうれしく思える瞬間です。
自分も力をもらえる
臨床心理士とクライエントの関係は、実はとても不思議なものです。
一般的には、「臨床心理士がクライエントを助ける」というイメージがありますが、実際には臨床心理士がクライエントから力をもらうことも多いのです。
例えば、クライエントから「先生のおかげで良くなりました」とお礼を言われれば、臨床心理士は「これからも頑張ろう」と思えます。
また、困難な課題に立ち向かい続けるクライエントを見て、自分を省みて「自分ももっと人生に向き合わなければ」と心動かされることもあります。
もちろん、臨床心理士がクライエントに力をもらうことを目的にカウンセリングをしてはいけませんが、1人の人として敬意を持って向き合えば、自然と「共に生き抜こう」「私も頑張ろう」という気持ちが浮かんできます。
私はこれまで出会ってきたクライエントさんの姿を思い浮かべ、「こんな時に〇〇さんならどう言うかな」「元気にやっているかな」と考えることがあります。
そうすると、「〇〇さんに恥ずかしくないよう、もっと頑張らなきゃな」と前向きな気持ちになれるのです。
臨床心理士の魅力
自分の心と向き合える
この社会は効率化や生産性を重視するあまり、「心」をかなり無視しています。
そのため、「しんどい」「つらい」と感じる余裕もなく走り続け、気がついた時には動けなくなっていたり、八つ当たりのように犯罪や暴力などに走ってしまったりします。最悪の場合には自分や他人を死に至らしめることもあります。
臨床心理士はみんなが見なくなってしまった心と向き合う仕事です。
もちろん、自分の心にも向き合います。
臨床心理士には「教育分析」と呼ばれる「自分もカウンセリングを受ける」トレーニングがあり、自分が抱えている課題や悩みについて深く考えていきます。
その結果、自分の心がどんな傷を負っているかに気づき、大きなダメージを負う前に対処できるのです。
臨床心理士になる人は、もともと心に何らかの傷を負っている方が多いです。
だって、心が傷ついたことがない人は「心をケアする必要がある」とも「心をケアする仕事に就きたい」とも発想する機会がなかなかありませんから。
そのため、他人の心をケアする技術はもちろん、自分の心も大切にすることが必要です。
自分の心を病んだまま、他人のカウンセリングをしているときに起こる問題については、以下の記事に詳しく書いているので、ぜひどうぞ。
自分自身を成長させ続けられる
臨床心理士の資格を維持するためには、研修会の受講、学会発表、論文投稿などで貰える「更新ポイント」を貯めなければなりません。
そして、5年ごとに「更新ポイントを15ポイント貯めましたよ」と申請し、資格の更新を受ける必要があるのです。
「えぇ、面倒くさそう」と思われるかもしれませんが、私は成長を感じられないまま単調な仕事をし続けるより、ずっと魅力と面白さを感じます。
それに、研修や学会では自分が本を読むだけでは出会えなかったような技術や知識に触れられることが多いため、いつでも新鮮な驚きと感動が得られます。
「これも面白そう」「勉強になりそう」と様々な研修会に参加していたら、5年で15ポイントって割と一瞬で貯まります。
むしろ、お金と相談しながら「どの研修会を受けないか」を考える方が大変です…。
幅広い領域でスキルを生かせる
人がいるところ、「心」あり。
そのため、臨床心理士のスキルは幅広い領域で活用できます。
代表的な領域としては、以下の5つが挙げられます。
■医療・保健
精神科や心療内科はもちろん、それ以外の科でもカウンセリングを提供する機会が増えています。また、保健センターや精神保健福祉センターでも相談対応をしています。
■教育
代表的なのは「スクールカウンセラー」ですが、自治体の教育センターや適応指導教室で子ども本人や保護者の支援にあたることも。
■福祉
子ども・女性・障がい者・高齢者といった社会的に弱い立場の方の支援にも臨床心理士が参加しています。児童相談所や女性相談センター、療育施設や介護施設等に所属しています。
■司法・警察
犯罪被害者の心のケアはもちろん、犯罪加害者に対するカウンセリングや知能検査・心理検査なども行い、更生をサポートします。
■産業・労働
ハローワークや外部EAP機関などに所属し、その人の特性や能力に合わせた働き方・生き方ができるよう支援します。
大学院では「面接室で1対1のカウンセリングをする」というイメージが強いですが、実際の働き方はもっと多種多様!!!
まとめ
ここまでの話をまとめてみましょう!
■臨床心理士のやりがい
・困っている人を助けられる
・自分も力をもらえる
■臨床心理士の魅力
・自分の心と向き合える
・自分自身を成長させ続けられる
・幅広い領域でスキルを生かせる
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