臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が定めた「倫理綱領」に基づき、心理業務(心理テストやカウンセリングなど)に取り組んでいます。
しかし、時には倫理に反する行動を取る臨床心理士に出会ってしまうことも。
そんな時に一体どこに連絡・相談すればいいのかをまとめました。
臨床心理士の倫理違反に関する連絡・相談窓口
日本臨床心理士資格認定協会
臨床心理士の倫理問題は、日本臨床心理士資格認定協会に設置された「理事会」と「倫理委員会」が対応しています。
日本臨床心理士会の倫理綱領について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
令和の時代ですが、メールでの問い合わせはできず、手紙・電話・FAXでしか対応していないので注意が必要!
基本的には手紙・FAXによる書面が推奨されています。
日本臨床心理士会
日本臨床心理士会でも「倫理綱領」や「倫理規程」が設けられており、違反者への処罰が課せられます。
資格認定協会と違って、全ての臨床心理士が日本臨床心理士会に所属している訳ではありませんが、2020年度年次報告書を見ると、2020年度末時点で会員数は21480名。臨床心理士の数は約4万人なので50%の確率で所属している可能性アリ!
問い合わせてみる価値はあるかも。
なお、日本臨床心理士会の倫理綱領第8条では、「不適当な臨床活動や言動」「知識・技術・倫理観・言動などが臨床心理士としての資質に欠ける」「資質向上の努力が認められない」といった場合に、会員同士で注意し合い、自覚を促すことが求められています。
それでも改善が見られない場合や注意・自覚を促すことが困難な場合には、“客観的な事実等を明確にして、各都道府県臨床心埋土会又は一般社団法人日本臨床心理士会倫理委員会あてに記名にて申し出ること”とされています。
都道府県臨床心理士会
各都道府県には臨床心理士会があり、その都道府県で居住・就労している臨床心理士が所属しています。(一部は公認心理師会になっていますが…)
都道府県臨床心理士会にも倫理規程が設けられており、倫理違反に関する処分を行っている場合があります。
そのため、倫理違反をしている臨床心理士が所属している臨床心理士会が分かれば、処分を求められる可能性があります。
ただし、全ての臨床心理士が臨床心理士会に所属している訳ではありません。
都道府県の臨床心理士会の一覧はこちら
国民生活センター
臨床心理士の倫理問題で満足のいくサービスを受けられなかった場合に、「国民生活センター」での相談も活用できる可能性があります。
平成27年に発表された「国民生活センターADRの実施状況と結果概況について」に掲載されている「【事案18】医療カウンセリング費用の返還に関する紛争」では、カウンセリングでのサービスやキャンセル規程に関する不十分な説明についての紛争と和解までが掲載されています。
ADRとは「裁判外紛争解決手続」のこと。
国民生活センターでは専門家による仲介や仲裁で、紛争の解決を目指すサービスが提供されています。
「消費者トラブル」に対応するところなので、倫理違反そのものについて扱うことは難しいと思いますが、「倫理違反によって十分なサービスを受けられなかったので返金してほしい」というような相談は、対応範囲かもしれません。
ただし、ADRに申請するには
・すでにもう一方の当事者(相手方)と、交渉や話し合いを行っているが解決できない等、「紛争状態」にあること
・「重要消費者紛争」であること
の2つが基本的な要件となります。
「重要消費者紛争」とは、
① 同種の被害が相当多数の者に及び、又は及ぶおそれがある事件に係る消費者紛争
② 国民の生命、身体又は財産に重大な危害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある事件に係る消費者紛争
③ ①、②の他、争点が多数であり、又は錯綜しているなど事件が複雑であることその他の事情により紛争解決委員会が実施する解決のための手続によることが適当であると認められる消費者紛争
のいずれかに該当するものです。
より詳しく知りたい方はこちらから!
消費者ホットライン(188)
消費者ホットラインは商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や相談に対応する窓口を紹介する全国統一番号です。
全国の「消費生活センター」や「国民生活センター」の窓口を案内してもらえます。
紛争まではいかないけど、臨床心理士とのカウンセリングで納得がいかないことがあれば相談できる可能性はあります。
各地の消費生活センターに直接連絡して相談することもできます。
都道府県の消費生活センターの一覧はこちらからどうぞ。
最後に:臨床心理士の倫理違反を相談するフロー曖昧すぎる…
以前、Twitterで出会った方とお話しする中で「日本の臨床心理士や公認心理師は、適切な心理療法が受けられない時にクライエントがどこに相談すればいいのかが分かりにくい」とのご指摘を受ける機会があり、「確かにその通りだ」と思ったので私なりに調べてまとめてみました。
第一候補はやはり「日本臨床心理士資格認定協会」、次に「日本臨床心理士会」、そして「都道府県臨床心理士会」という順で問い合わせていくのが良いのかな…と感じます。
日本臨床心理士資格認定協会は「メール」がないのが不便な印象。メールが大量に来たら処理しきれないのかもしれないけど。
カウンセリングがどんなものか分からないまま受けるよりも、ある程度事前に知識をつけておく方が安全に受けられる確率は高まります。
こちらの本はカウンセリングについてかなりかみ砕いて易しく書いてあり、「とにかくカウンセリングって何か知りたい!」「どんな効果があるのか知りたい!」「カウンセラーってどうやって選べばいいの!?」という方におすすめ。かなりライトでさくさく読めます。
私は図書館で借りて読んだので、お近くの図書館にもあるかもしれません。
コメント