臨床心理士になりたい!
でも、臨床心理士って具体的にどんな仕事をしているんだろう?
臨床心理士や公認心理師の仕事は実にさまざま!
今回は
・臨床心理士の4つの専門業務
・臨床心理士が活動している領域
をわかりやすく解説します!
臨床心理士の4つの仕事とは?
日本臨床心理士資格認定協会によると、臨床心理士に求められる専門業務には、
・臨床心理査定
・臨床心理面接
・臨床心理的地域援助
・調査・研究活動
の4つがあるとされています。
それぞれ、どんな仕事か見てみましょう。
1.臨床心理査定
「臨床心理査定」とは、相談に来られた方(クライエントさん)や患者さんが
・どんな人なのか
・どんな問題を抱えているのか
・どんな強みを持っているのか
について明らかにしていきます。
心理検査や知能検査など、様々なテストから得られる客観的なデータだけでなく、実際に目の前にいる「その人」と出会ったときに感じること、検査中や検査後の様子なども大切な情報として扱い、「その人らしさ」を探っていきます。
2.臨床心理面接
「臨床心理面接」は、悩みを抱えたクライエントさんに対して「面接」を通じてサポートしていくプロセスです。
「臨床心理士の仕事」と聞くと、この臨床心理面接をイメージする人も多いのではないでしょうか。
臨床心理面接の方法は、クライエントさんの悩みの種類、年齢、状況によってさまざま。
悩みを言葉にできる人もいれば、簡単に言葉にできない人、あるいは何に悩んでいるか自分でも分からない人もいます。
多様なクライエントさんに合わせた方法を選ぶことも臨床心理士の専門性と言えるでしょう。
3.臨床心理的地域援助
臨床心理士が支援するのは「個人」だけではありません。地域・学校・会社などのコミュニティ全体のメンタルヘルス(精神的健康)を向上させることも大切な仕事の1つ。
例えば、上司との人間関係でつらい思いをしている個人のクライエントさんをどれだけ面接室で支援しても、高圧的な上司がいる職場に戻れば、再びしんどくなってしまうかもしれません。
しかも、高圧的な上司は日々の残業でイライラして、クライエントさんにあたってしまっているかもしれないのです。
このようにコミュニティ全体の状態をよく観察し、適切な支援や情報提供を行うのが「臨床心理的地域援助」です。
4.調査・研究活動
ここまで紹介してきた3つの活動は、臨床心理士の直感で行われているわけではありません。「調査・研究活動」を通して「ちゃんとした手法である」ということを証明した上で実施されています。
また、「心」は社会や環境の変化に合わせて変容していきます。
例えば、誰もがスマートフォンを持って、いつでもつながれる環境だからこそ、「SNSで既読無視された」「いつもSNSが気になって仕方ない」といった悩みが生まれます。こんな悩みは20年前にはなかったでしょう。
臨床心理士は常に新たな調査・研究にアンテナを張り、自分の知識や技術を高めていくことも求められているのです。
臨床心理士が仕事をしている領域
臨床心理士はどこで活躍しているか知っていますか?
実はこんなにも多様な分野で活動しているんです。
教育分野
教育分野で活躍する臨床心理士と言えば、「スクールカウンセラー」が代表的です。
スクールカウンセラーは、
・生徒や保護者からの相談
・先生方へのコンサルテーション
・他機関との連携
といった仕事を担っています。
スクールカウンセラーの仕事内容について詳しくは、下の記事からどうぞ!
また、大学の学生相談室、地域の教育センターなどで勤務する臨床心理士もいます。最近では幼稚園で子どもの相談を受ける「キンダーカウンセラー」も増えています。
・勉強についていけない
・発達障害ではないか
・友達とうまく付き合えない
・いじめられている
・性別に違和感がある
・非行に走った生徒がいる
・〇〇だと思うので病院を紹介してほしい
など、非常にさまざまな相談が寄せられるため、専門的な知識と経験が求められる分野となっています。
スクールカウンセラーは時給の高さが注目されがちですが、求められるスキルの高さも見逃せません。
医療・保健分野
臨床心理士といえば、精神科や心療内科で働く姿をイメージする人も多いのではないでしょうか。しかし、実際にはもっと幅広い診療科で活躍しているのです。
例えば、ガンや糖尿病といった病気になった方は、病気になった事実に落胆したり、病気によって変わっていく自分の身体や生活に適応できずに悩んだりします。そのような方の心をサポートすることも、医療・保健分野で働く臨床心理士の大切な仕事です。
また、自分の悩みをうまく言葉にできない子どもは、身体の症状で訴えることもあります。そのため、臨床心理士が小児科で子どものケアにあたることもあるのです。
耳鼻科などに臨床心理士が在籍していることもあります。
子どもがストレスで「耳が聞こえない」など訴えるケースもあるからです。
その他、自治体の保健所や保健センターで勤務し、住民の心の健康や子育てに関わる相談などに対応する臨床心理士もいます。
福祉分野
児童相談所・療育施設・障害者作業所・女性相談センター・老人福祉施設といった、福祉領域で活躍する臨床心理士もたくさんいます。
社会的に弱い立場にある子ども・障害者・女性・高齢者といった方に対する心のサポートだけでなく、問題の解決に向けた実際の行動にも取り組んでいきます。
どんな方でも当たり前の生活を当たり前に送れるよう、支援を行うのが仕事です。
司法・矯正分野
普段の生活ではあまり見かけることはありませんが、家庭裁判所・少年鑑別所・刑務所・拘置所・少年院・保護観察所といった、司法・矯正分野で活躍する臨床心理士も少なくありません。司法・矯正分野と聞くと「罰を与える」「厳しく指導する」というイメージを抱く方もいるかもしれません。
しかし、この分野で働く臨床心理士は、支援の対象者が「社会でよりよく生きていくこと」を目指しています。そのために、対象者の非行や犯罪の背景にある、その人自身の困りごとを明らかにするための検査や観察を行い、必要な支援や情報の提供を行っているのです。
刑務所の処遇カウンセラーの働き方は、下のブログを参照してみてください!
労働・産業分野
労働・産業分野でも「なかなか仕事が決まらない」「職場での人間関係に困っている」「職場の人に障害を理解してもらいたい」と悩みは尽きません。
企業に設置された相談室やハローワーク、障害者職業センターなどに勤務し、そういった悩みを抱えた方を支援する臨床心理士もいます。
産業領域の心理職の働き方については、以下の記事もあわせて読んでみてください!
まとめ
ここまでの話をまとめてみましょう!
臨床心理士の専門行為には、以下の4つがあります。
- 臨床心理査定:クライエントや患者の「その人らしさ」を探る
- 臨床心理面接:面接を通じて悩みを抱えたクライエントを支援する
- 臨床心理的地域援助:コミュニティ全体のメンタルヘルス向上を目指す
- 調査・研究活動:1~3についての調査・研究で知識や技術を刷新する
また、臨床心理士の活動する分野は「教育分野」「医療・保健分野」「福祉分野」「司法・矯正分野」「労働・産業分野」と多岐に渡ります。
臨床心理士を目指すなら
自分がどんな働き方をしたいか考えることが大事だね!
人がいるところに悩みあり!
臨床心理士の活躍するフィールドはまだまだ広がるのかもしれません
心理職の活躍するフィールドについては、「心のお仕事」という本もおすすめ。様々な領域で活躍する臨床心理士・公認心理師、精神科医・看護師・精神保健福祉士といった方々が、自分の経験や考えを寄せておられます。14歳を対象とした本だけど、読み応えは抜群です。
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