学校のスクールカウンセラーさんにお世話になった!
悩んでいる友達と接する中で、そういった人を支えるスクールカウンセラーという仕事に興味を持ち始めた
さまざまな理由からスクールカウンセラーに興味を持つ人はたくさんいます。
スクールカウンセラーとして働く私のもとにも、「スクールカウンセラーになりたいと思っているのですが」という生徒さんがちょこちょこやって来ますし、Twitter等で質問を受けることもあります。
そこで、今回は
・スクールカウンセラーになるために必要な資格・スキル
・スクールカウンセラー就活の流れ
について、経験をもとにお話ししていきます。
スクールカウンセラーになるために必要な資格やスキル
スクールカウンセラーになりたいけど、どんな資格やスキルが必要?
スクールカウンセラーに必要な資格
基本的にスクールカウンセラーになるには、心理に関する資格が必要です。
例えば、以下は令和3年度足立区スクールカウンセラー求人の応募条件です。
これを見ると、
・臨床心理士
・臨床発達心理士
・公認心理師
の資格が応募条件になっていることが分かります。
それぞれの資格を見てみましょう。
臨床心理士
「臨床心理士」は、日本臨床心理士資格認定協会による民間資格です。
日本臨床心理士資格認定協会によれば、臨床心理士は、
・人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”
・クライエント自身の固有な、いわばクライエントの数だけある、多種多様な価値観を尊重しつつ、その人の自己実現をお手伝いしようとする専門家
「日本臨床心理士資格認定協会」より
などと表現されています。
「クライエント」というのは、「相談者」のこと。
臨床心理士は「目の前にいるクライエントさんに寄り添いながら、その人が求めているゴールを一緒に探し、見つけたゴールに向けて協力しながら進んでいく仕事」というイメージです。
臨床心理士になるには指定大学院を修了すると共に、資格試験の合格が求められます。
臨床心理士資格の取得方法や資格試験について詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせて読んでみてください。
臨床発達心理士
「臨床発達心理士」は、臨床発達心理士認定運営機構による民間資格で、「人の発達・成長・加齢に寄り添い、必要とされる援助を提供」する専門家です。
「発達」と聞くと、なんだか子どもだけを対象としているようですが、大人や高齢者まで生涯に渡る支援を行っています。
なお、臨床心理士と名前が似ていますが、別の資格です。
臨床発達心理士の資格を取得するには、以下の申請要件のどれかを満たす必要があります。
・発達心理学隣接諸科学の大学院修士課程在学中または修了後3年未満
・臨床経験が3年以上ある
・大学や研究機関で研究職をしている
・公認心理師資格を取得している
その上で一次審査(書類審査など)+二次審査(口述試験)を通過すれば、資格を取得できます。
公認心理師
「公認心理師」は日本で初めての心理職に関する国家資格です。
2017年に成立した公認心理師法に基づき、2018年に第1回試験が実施され、現在に至ります。
厚生労働省は、公認心理師について次のように定義しています。
公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。
(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
「厚生労働省「公認心理師」」より
公認心理師になるには、まず資格試験の受験資格を得る必要があります。
主なルートは以下のようになります。
4年制大学修了に加え、
・大学院修了(区分A)
あるいは
・特定の施設で2年以上の実務経験(区分B)
が基本的な受験資格を得るルートです。
その上で、公認心理師資格試験に合格する必要があります。
スクールカウンセラーになりたい方は、まずは「臨床心理士」か「公認心理師」の資格取得を目指しましょう。
その上で、「臨床発達心理士」を取るとなお良しです!
スクールカウンセラーに必要なスキル
スクールカウンセラーは、様々な相談への対応が求められます。
・不登校
・いじめ
・発達障害
・虐待やDV
・ゲームなどの依存症
・LGBTQなどの性の悩み
・摂食障害やうつなどの精神疾患
…などなど
そのため、単に「1対1でクライエントの話を聴く」というカウンセリングスキルだけでは十分ではありません。
・医学的な知識(発達障害・精神疾患・依存症など)
・福祉の知識(虐待通告の流れや自治体が提供しているサービスなど)
といった「幅広い知識」が求められます。
また、いじめや不登校、虐待やDVに対しては、学校と連携を取りながら「具体的な行動を取るフットワーク」も必要です。
また、研修・講演の実施といった機会もあるため、資料をまとめ、大勢の人の前で分かりやすく話す「プレゼンテーション能力」も大切です。
大学院修了後、すぐにスクールカウンセラーを目指すよりも、色々な仕事を経験して専門性を高めてからスクールカウンセラーになる方がおすすめです!
私もこれまでの非常勤で、スクールカウンセラーで活かせるたくさんの学びを得ました。
・精神科での勤務→精神疾患の理解が深まる
・療育手帳判定員→子どもの発達について理解できた!検査結果が読める
・療育施設での勤務→発達障害や知的障害の対応が分かる
「スクールカウンセラーになりたいから」と学校での仕事に絞らず、色々な領域での仕事を経験してみましょう!
学校現場でスクールカウンセラーがどんな働き方をしているか知りたい方はこちらの本がおすすめ。
スクールカウンセラーが学校に着任してから、どんな風に働くのかが詳しく書いてあります。
スクールカウンセラーになるまでの就活方法は?
スクールカウンセラーになる資格とスキルを身につけたら、どうやって仕事を探せばいいんだろう?
教育委員会を通じて応募
学校には「公立」と「私立」があります。
そして、公立学校の場合には、都道府県や市区町村の教育委員会が秋~冬頃にスクールカウンセラーの求人を出します。
ハローワークに求人情報が掲載されている、臨床心理士会などの職能団体に連絡が回ってくる、などで求人を見つけることができます。
スクールカウンセラー求人については、Twitterで「〇〇市のスクールカウンセラー求人が出てます!」というツイートを見て気づくこともあります!
SNSも上手に活用しましょう。
「私立小学校連合会」「私立中学高等学校連合会」に求人が掲載されている
私立学校は各都道府県の「私立小学校連合会」や「私立中学高等学校連合会」という組織に名前を連ねています。
学校によってはこれらのホームページに求人情報を掲載していることも。
年度末が近づいてきたら定期的に覗いてみてもいいかもしれません。
求人サイトに情報が載っていることも
私立の学校では、indeedなどの求人サイトにスクールカウンセラーの求人情報を掲載していることがあります。
ただし、求人サイトの「スクールカウンセラー」は語学学校のレッスンサポートなどの仕事も混ざっているため、仕事内容をよくチェックし、見分けることが必要です。
また、各学校のホームページに求人情報が出ていることも。
私立学校のスクールカウンセラーは、大学院の先輩から「やってみない?」と声を掛けられることもあります。
大学院で人脈を作っておくのも、就職活動の1つ!かもしれませんね。
まとめ
今回の内容をまとめてみましょう。
■スクールカウンセラーになるために必要な資格
・臨床心理士
・公認心理師
(※あれば臨床発達心理士など)
■スクールカウンセラーに必要なスキル
・1対1でカウンセリングスキル
・医療や福祉などの幅広い知識
・具体的な行動を起こせるフットワーク
・プレゼンテーション能力
■スクールカウンセラーになるまでの就活方法は?
・教育委員会を通じて応募
・求人サイトから応募
・私立学校のホームページから応募
スクールカウンセラーはかなり幅広いスキルを求められる大変なお仕事ですが、その分やりがいもあります。
(他の仕事に比べて時給も良いし…)
興味を持った方はぜひチャレンジしてみてくださいね。
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