公認心理師/臨床心理士を目指す大学3年生の方から、院試の勉強法についてご質問いただきました。
まずはひとこと…
私は院試の勉強を本格的に始めたのは4年生になってからだったので、3年生のこの時期から院試を視野に入れている質問者さんはそれだけで偉い!!!
私が受けた大学院の院試は冬に行われたので、夏の院試を受けるのとはちょっとペースも違うのかもしれませんが。
院試なんてもう(ピー)年前なので、だいぶ忘れているところは多いのですが、薄れゆく記憶を何とか掘り起こしてお答えしていきたいと思います。
臨床心理士・公認心理師大学院の院試勉強【体験談】
【3年生】サークル&バイト漬けの日々での受験勉強
3年生の頃は土日平日問わず、サークル&バイトの日々だったので、バイトのレジが暇なときに英単語覚えるのと、実習のレポートを書くのとで精一杯でした。
英単語は「心理系大学院入試頻出英単語」という本を使っていました。
それを小さい紙に書き写してバイトのスキマ時間に見ていました。
バイト仲間に「佐藤さん、偉いっすね~」と言われてドヤ顔したい部分もありましたが。
あ。もちろん、ちゃんと仕事はしていましたよ!
バイトは結局卒業するまで続けていましたし、ずっと英単語を覚えていました。
「お客さんが来ないうちに覚えなきゃ」という緊張感は意外と効率の良い暗記につながったように思います。
暗記はゲーム感覚で楽しむ!
1人でタイムアタック形式も楽しいし、人と勝負するのも〇
適度な緊張感を持続させるべし。
【4年生】みんなで勉強会
4年生になると、臨床の院に進みたい人で集まって週1回程度勉強会をやっていました。
最初は「ヒルガードの心理学」という分厚い英語の本を、みんなで順番に和訳しながら理解していきました。
あとは、過去問を入手して1回に1問ずつみんなで考えた答えを発表し合ったりもしていました。
とは言っても、みんな知識があやふやなので
「間主観性って結局どこにあるの?」
「投影と投影同一視って何が違うの?」
「WPPSIって何?!」
と議論が混乱することもありましたが。
どうにもならないときは教授に聞きに行って「こうらしい」と共有したりもしていました。
みんなでコツコツ知識を深めるとフツーに楽しい。
人に説明することで「自分分かっていないな」と気づける!
人の説明を聞くことで1人では手が回らなかった部分の理解も深められる。
【4年生】もちろん自習もするよ!
個人的な勉強では以下のような本を使いました。
テキスト
「よくわかる臨床心理学」と「よくわかる心理臨床」
名前はよく似ているけれど中身は全く別物。前者は臨床心理学の基本的な情報(立ち位置や歴史、理論や心理検査など)を網羅した本、後者は力動的心理療法で用いられる手法を学ぶ本…という感じです。
問題集
「臨床心理士・指定大学院合格のための心理学問題集」
特にこだわりがあった訳ではなく、大学生協に置いてあったのを買いました。
辞書系
「臨床心理士・指定大学院合格のための心理学キーワード辞典」と「心理臨床大事典」
大学生協に置いてあったキーワード辞典を買いました。心理臨床大事典は教授におすすめされて、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで購入(約2万円=1ヶ月のバイト代)。
テキストや問題読んで「これどういうこと?」と思ったら、キーワード辞典見て、それでも分からなければ心理臨床大事典使って…と、どんどん知識を深めるようにしていました。
ちなみに心理臨床大事典は、エビデンス・ベースドな心理療法に関心が強い方なら、院試を終えた後はあんまり役に立たないかもしれません。図書館に置いてあれば必要なときにそれを使えばOKかも。
ただ、精神分析やロジャースなどに関心があるならぜひ購入を検討してみてください。
私は購入してから(ピー)年経過してなお役立っています。
ちなみに最近調べたのは質問箱に答えるための「交流分析」です。
あと、完全に運が良かっただけなんですが、私が住んでいた寮に、卒業した先輩が放置していった心理系公務員試験合格の対策DVDがあったので、それを繰り返し観ていました。
このDVDでは、認知心理学とか社会心理学の知識が深まった気がします。
「フット・イン・ザ・ドア」とか「ドア・イン・ザ・フェイス」とか覚えました。
「ドア・イン・ザ・フェイス」って聞くと、どうにも映画「シャイニング」を思い出してしまうんですけどね。
あまりテキスト・問題集は増やしすぎず、自分に合った1冊1冊を徹底的に理解するのがよさそう。
辞典・事典を上手に活用して、どんどん知識を広げよう!
【4年生】研究計画書と卒論
研究計画書は卒論で「これやろうかなー」と思っていたアイデアのうち、結局卒論では使わなかった1つをとりあえず書いたような気がします。
卒論も研究計画書も指導教官に泣きついて、手厚くサポートされていました。(ダメダメ)
なので、この領域についてはお話しできることがないです。
1人で抱え込まずに、先生に「助けてドラえもん」と早めに泣きつこう…というくらい。
この「早めに泣きつく力」は修論でも就職後でも力を発揮するので、習得しておくと役立ちますぞ。
臨床心理士・公認心理師大学院の院試…不安をどう解消する?
1つずつやればOK
たぶん、質問者さんはやらなきゃいけないことを一気に目の前に積み上げたような状態になっていると思います。
でも、実際には1つずつやればいいのです。
例えば、「ヒルガードの心理学を3年生のうちに読む」と目標を立てたとしましょう。
ヒルガードの心理学(Atkinson & Hilgard’s Introduction to Psychology)は816ページ。おそらく目次や索引を除けば800ページくらいだと考えてよいかと思います。
本日2021年7月22日時点で、来年の3月31日までは253日です。
すると1日に3ページと少し読めば間に合う計算になります。
「週1日くらいは休みにしたい」という場合には、4ページくらい読めば十分休みも確保できます。
漠然と不安だったときよりも「やれそうだ」と感じませんか?
RPGだって、スライムとボスと四天王と魔王がいっぺんに出てきたらそりゃあ怖いけど、1つずつ倒せば、ちゃんと成長できるし達成感も得られる!
漠然とした不安から逃げるより思い切って見つめる
不安には形がありません。そして形のないものはどんどん悪い方向に膨らみます。
不安でも、噂でも、お化けでも、実体のないものはどんどん広がる…
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」なんて言葉がありますが、不安もちゃんと見れば、思っていたよりしょうもなくて「何を不安になっていたんだろう」と思うことも少なくありません。
それでも「1人では見つめることも怖い」ということもあります。
そんなときは誰かと一緒に見ればOK。
自分1人のときは幽霊の正体を観るのが怖いときでも、人と一緒なら「な~んだ枯れ尾花じゃ~ん」と笑い合えるもの。
「受験勉強不安なんだよね」「私も~」と話しているだけでも、お互い「何がそんなに不安なのか」がはっきりしてきて、意外と「じゃあ、今度先輩に聞いてみる?」とか「一緒に勉強会しよう」とか、そんな解決策がぽろっと生まれたりしますから。
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