質問箱にカウンセリングに関する質問を2ついただきました。
どちらもカウンセリング中のカウンセラーが、クライエントの「身体」にどう向き合うか問われているのかなぁと思うので、まとめて回答していきたいと思います。
あくまで私の場合はこうしているよーという話です!!
他の臨床心理士は寄って立つ心理療法や職場の方針などの違いによって、別の対応をしているかもしれませんので、参考程度にお読みください。
Q.カウンセラーはクライエントの服装や容姿を見ているか?
A.見ています。
そもそもファッションは「私ってこんな人間です」という1つのメッセージだと思います。心が変化すると服装や容姿も自然と変わっていくものです。
代表的なものとしては「恋をしたらキレイになった」とかでしょうか。
もちろん、そんな簡単な話ではないですが、その人の心はある程度、服装や容姿に見え隠れします。
例えば、ぴしっとしたスーツでカウンセリングに来る人は「きちんと礼儀正しく振舞わなきゃ」と緊張している人かもしれないし、弱っているところを見せられない人なのかもしれない。
シワになった服で来る人はそもそも自分自身に関心がないのかもしれないし、身だしなみを整える余裕もないくらい追い詰められているのかもしれない。
このようにクライエントさんの服装や容姿は、クライエントさんの個性や状態を伝えてくれる大切な情報だと考えています。
とは言え、あくまで情報源の1つ…という話。
私はスクールカウンセラーなので、みんな同じ制服ですしね…。
それでも着崩し方に個性が出てたりもしますよ!
Q.カウンセリング中にクライエントが過呼吸ぎみになったら?
A.私にできる「普通」の対応をします。
心の問題が身体に出ることは少なくありません。
私自身、心にモヤモヤしたものを抱えると不眠になったり、肩がこったり、身体がお酒を求めたり、にきびができたり…。
そのため、過呼吸に限らず、カウンセリング中にクライエントさんが体調不良を訴えることはあります。私はそういった体調不良もクライエントさんの心のメッセージである可能性を考えます。
例えば、私がクライエントさんにとって不快に感じられることを伝えた次の回に「体調不良で休みます」とキャンセルの電話が来たり、カウンセリングに来ても「今日は頭がぼんやりしていて先生の話が理解できない」と言われたりすることも。
そういうときは「前の回のあの言葉が〇〇さんを傷つけたのかも」と思いますし、その可能性が高ければ「あの言葉が〇〇さんを傷つけたから、体調不良でそう訴えているのかもと思いますが…」みたいに伝えることもあります。
それにクライエントさんが納得すれば、案外けろっと体調不良の話がなくなることもあります
ただ、心のメッセージとして受け止めるからといって、実際に目の前で過呼吸ぎみになっているクライエントさんに「それは心のメッセージだから本当は身体の問題じゃないんですよ」とかのんきに言うのもおかしなことです。
本当に病気にかかっていて、身体の問題である可能性もゼロではありませんしね。
そういう場面に出会った場合、私は、私が人として普通にやるだろうなぁということをします。つまり、「ソファに横になるといいですよ」と勧め、ブランケットをかけたり、袋があれば渡したり…ということ。
私はスクールカウンセラーなので、見守っていても状態が良くならないようなら保健室の先生に連絡を取るかもしれませんね。
ただ、その後、病院で診察を受け、身体の問題でないことがはっきりした場合には、「ここで過呼吸になる意味」を一緒に探していくだろうなぁと思います。
過剰に心配すると、それはそれで行動に拍車をかけることもあるので、いつでも同じ対応ができる程度の「普通」の対応を心掛けてはいます。
まとめ
カウンセリングは目に見えない「心」を見つめるものですが、なにぶん目に見えないので、目に見える手がかりは積極的に拾い上げています。
そのため「服装・容姿」や「症状」など「身体」に関する要素も結構手がかりにしているのです。
心を理由に「身体」に触れてしまうのは簡単です。
寂しさを訴えるクライエントを抱きしめることは容易です。
しかし、それは心の問題を「身体」に置き換えて一時的に解決した風に見せかけること。
本当にちゃんと心に向き合うカウンセラーは、「身体」を心を理解する手掛かりにはするけれど、安易に触れることはありません。
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