公認心理師にさらなる上位資格である「専門公認心理師」「認定専門公認心理師」があるのをご存知でしょうか?
今回の記事では「専門公認心理師」「認定専門公認心理師」がどんな資格なのか、取得の手続きや費用、メリットを解説します!
上位資格「専門公認心理師」「認定専門公認心理師」とは?
公認心理師の上位資格としての制度
「専門公認心理師」と「認定専門公認心理師」は、よく似た名前をしていますが、それぞれ別の職能団体が認定している公認心理師の専門的な資格です。
どちらも、公認心理師としての自己研鑽とキャリアアップのための制度として誕生しました。
「専門公認心理師」は2022年4月に創立した制度ですが、認定申請がまだ始まっていません。
「認定専門公認心理師」の制度は2021年8月に創立されました。2022年より研修が開始され、2023年9月から認定申請が始まり、2024年1月に312名の認定公認心理師が誕生しました。
通常の「公認心理師」資格については、下の記事をお読みください。
それぞれ認定している団体が異なる
「専門公認心理師」と「認定専門公認心理師」を認定している団体はそれぞれ違うので、混同しないように注意しましょう。
「専門公認心理師」は「一般社団法人 公認心理師の会」(以下、公認心理師の会)が認定しています。
一方、「認定専門公認心理師」は「公益社団法人 日本公認心理師協会」(以下、公認心理師協会)が認定しています。「認定専門公認心理師」にはさらにステップアップした資格である「認定専門指導公認心理師」もあります。
専門性の選び方による違い
「専門公認心理師」は専門性ごとに6つの資格に分かれています。
◯医療専門公認心理師
◯福祉専門公認心理師
◯教育専門公認心理師
◯司法・犯罪専門公認心理師
◯嗜癖専門公認心理師
◯産業・労働専門公認心理師
「専門公認心理師」でひとつの資格となるわけではないため、注意が必要です。取得する際はどの専門にするか選ぶ必要があります。
一方、「認定専門公認心理師」はひとつの資格です。幅広い分野で専門性を身につけることができます。
公認心理師の上位資格取得の手続き
「専門公認心理師」取得の手続き
「公認心理師の会」に所属
「専門公認心理師」を取得したい場合、公認心理師の会に所属していることが条件となります。
コンピテンスリストに基づく研修を受講
公認心理師の会が作成してるコンピテンスリストに基づいた研修を受講していくことになります。
コンピテンスリストは2つに分かれています。
・医療・教育・産業・司法・福祉それぞれのコンピテンスリスト
・主要5分野に共通した横断的・基礎的な「共通コンピテンスリスト」
の2つです。
公認心理師の公式HPには「主要5分野共通コンピテンス」と主要5分野それぞれのPDFファイルが掲載されています。
詳細はこちらをご覧ください。
引用元:公認心理師の会 表「共通コンピテンス」 一般社団法人 公認心理師の会「コンピテンスリストについて」
審査に合格後に認定・登録
審査はコンピテンスリストに記載された項目ごとに、以下の順序で行われます。
①公認心理師の会が主催する研修会に参加
②他団体による研修会のうち公認心理師の会が認定したものへの参加
③推薦書などによって申請
この申請書に基づいて認定の審査が行われます。
資格は5年ごとの更新制で、定められた条件を満たす必要があります。
詳しい更新の認定方法は後日発表となっています。(2024年9月現在)
「認定専門公認心理師」取得の手続き
「公認心理師協会」に所属
「認定専門公認心理師」は公認心理師協会が認定している制度のため、公認心理師協会に所属していることが条件となります。
段階ごとの研修を受講
「専門公認心理師」の研修は4段階に分かれています。
①導入研修
②専門研修I
③テーマ別研修
④専門研修II
導入研修はテキストに基づく自己学習によって行われ、2022年度から解説動画が配信されました
通信講座や大学のオンデマンド授業みたいな形式だね。
専門研修Iは1部と2部に分かれ、それぞれ50分×5コマ(250分)です。
テーマ別研修は分野別・課題別の内容です。20単位の取得が必要で、30分1コマの研修で0.5単位となります。
専門研修IIはより応用的、専門的な力を習得するための研修であり、①〜③を修了したのちに受講可能です。
認定申請ののちに認定審査
研修を修了し、かつ公認心理師として5年以上の実務経験を有していれば認定申請を行うことができます。
また、すでに心理専門職として5年以上の臨床実践経験がある場合は経過措置が適用されるようです。
認定申請は公認心理師協会の会員マイページから手続きすることができ、認定申請後、公認心理師協会専門認定委員会による厳密な審査が行われます。
認定審査に合格後
審査に合格後、認定専門公認心理師として登録され、4月1日付の登録証(IDカード)が交付されます。
「認定専門公認心理師」も5年ごとの更新制です。
更新には専門研修IIとテーマ別研修(25単位)の学修が必要となります。
公認心理師上位資格取得の費用
「専門公認心理師」の取得にかかる費用
公認心理師の会への入会が必須となりますが、入会金はかかりません。
年会費は5000円です。
資格登録料や更新費用等については、2024年9月現在で詳細が発表されていません。
「認定専門公認心理師」の取得にかかる費用
公認心理師協会への入会が必須となり、入会金は10000円、年会費は10000円です。
研修の費用は下記の通りです。
・導入研修:0円(テキスト等は公認心理師協会の入会でもらえる)
・専門研修I:1部と2部を合わせて15000円
・テーマ別研修:1単位3000〜8000円
・認定審査料:11000円
・登録料(5年分):22000円
合計するとざっくり20万円くらい…1年4万円。
臨床心理士も研修やら学会やらでこれくらいかかっている気がするから、高すぎるわけでもないのかな。ふつうに高いけどね。
「専門公認心理師」「認定専門公認心理師」のメリット
公認心理師としてスキルアップできる
専門分野に特化した研修を受けることで、公認心理師としてスキルアップすることができます。
現場でクライアントと関わっていくためには常に最新の情報で知識と技術をアップデートしていくことが必要になり、日々の努力と勉強による自己研鑽が欠かせません!
就職に有利になる可能性
「専門公認心理師」や「認定専門公認心理師」の資格は専門性の高い知識・スキルを持っていることの客観的な証明になります。
就職の現場でみんな同じ公認心理師の資格を持っていれば、その現場に合ったさらに深い知識や技術を持っている人材を確保したいと思うでしょう。
専門的な資格を持っていることがアピールポイントに繋がります!
他の公認心理師と差別化できる
専門的な知識と技術を持っていることで、現場では医師などの医療従事者や職員からの信頼が厚くなり、クライアントにとって安心して相談できる存在になリます。
公認心理師としての価値が上がり、信頼できる個人として認識されることで他の公認心理師との差別化に繋がるのではないでしょうか。
そのためには、受け身で研修を受講するのではなく、主体的に学ぶ姿勢が必要だね。
ポイントのためだけでない受講をしよう!
まとめ
公認心理師として高い専門性と知識を身につけていくために、日々の自己研鑽が必要になります。
1回のペーパーテストのみで資格取得が可能で、特に更新する必要もない公認心理師は、時代に合わせて変化する”こころ”に対応していけるのか不安があります。古い知識のまま留まる人もいるかも。
もちろん、個々の努力でカバーされる部分もあるでしょうが、なにぶん個人の学びは興味や好みで偏りがち。そんなときに学びの方向性を示してもらえるのはありがたいことではあります。
個々人として力をつけていくためにも、公認心理師の上位資格の詳細には目が離せません。
あとはなーお金がなー…
仕方ないけど、支払った額と将来のリターン(お金)が見合うか考えてしまう。
アカデミックか開業だと「箔をつける」ことで、キャリアアップ・集客につながるかもしれないな。
将来、上記2つを目標としている人はとってみてもいいかも。
ほかの仕事は……見返りより自己満足(技術UP)を目標とした方が不満はなさそう。
下の本は、個人のスキルアップに加え、システム内に入り込み、システム外に腕を伸ばし…とあらゆる活動でキャリアを形成する話が書かれています。
大事なのは、個人としてスキルアップしても、キャリアとしては何にもならないことの方が多いってこと。その点は注意が必要!上位資格をとって「キャリアに何も影響がない!」と言っても、「それはそう」でしかない。
「専門公認心理師」「認定専門公認心理師」は始まって間もない制度で明らかになっていない部分もあります。(特に「専門公認心理師」)
常に最新の情報にアンテナを立てていきたいですね!
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